何か悪いことが起きたんだろ?

アイラ

わかっていた。心の奥底では。でも、誰かにそう言ってほしかった。

モニカがいたのはダンスフロア。

セインが絆を閉ざしたこと。

レイヴンの沈黙。

モニカの電話が繋がらなかったこと。

セインの服についていた血。

彼女は逝ってしまった。ここでできた初めての、本当の友達が。

私に手を伸ばすセインから、一歩後ずさる。

「アイラ……」セインの声は静かで、ためらいがちだ。私の内側で起きていることが、外見にまで表れているのを彼も見て取ったに違いない。

呼吸が苦しくなって、速くなる。

胸が痛い。

恐怖が忍び寄る。

頭がくらくらする。

心臓が激しく脈打っている。

どうして震えているの? どうしてこ...

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