ファースト・キス

セイン視点

彼女の姿は見えないが、その匂いはわかる。酸っぱいレモンの香りが鼻をつき、デラがこの辺りのどこかにいるのだと悟った。酸っぱいレモンなんて辻褄が合わないと思うかもしれないが、彼女の場合は妙にしっくりくるのだ。

デラの匂いは鼻の奥を焼くほど鋭く、強烈で刺激的であり、どういうわけか絶対に無視できない代物だった。

面倒な揉め事は御免なので、俺はアイラとの昼食を早々に切り上げ、パックハウスへ戻ることにした。車での道のりは単純なはずだが、なぜか俺は時間をかけたくて、わざわざ一番遠回りのルートを選んでいた。アイラと離れるのを少しでも遅らせるための時間稼ぎだ。自分でそうと分かっていながらも、そ...

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