埋もれたインク

アイラ

ブーツが敷石をこする音は、まるで壁が聞き耳を立てているかのように響き渡る。

セインが私の前を歩いていく。その肩は張り、全身から鋭い目的意識がにじみ出ていた。彼を見上げるには、さらに首を反らさなければならなくなった。中に入ってから彼はほとんど口を開いていないが、その内なる狼が絆を通して、落ち着きなく、激しくうずいているのが伝わってくる。

「ここに何か、保管しておく価値のあるものがあると思う?」私は小声で尋ねた。洞窟のように広い部屋では、私の声は大きすぎた。

「あるはずだ」彼の返事は平坦で、確信に満ちていた。「こんな書庫を建てて、ただ朽ち果てさせるわけがない」

私は手当たり次第に本を抜...

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