第212章

その様子を見た山田蓮花は、心臓が早鐘を打つのを感じた。何か失言をしてしまったのだろうか。

褒めれば褒めるほど、お爺様の顔色は険悪になっていくばかりだ。

……ここは、ひとまず退散すべきだ。

「あの、お義父様。もう遅いですし、夕食の様子を見てまいりますわ」

普段は家政婦や料理人が忙しく立ち働く厨房になど、油煙を嫌って寄りつきもしない彼女である。

そう言ったのは、単にその場を離れるための口実に過ぎなかった。

藤原の当主はすでに腹案があったため、大きく手を振って山田蓮花を下がらせると、すぐに携帯を取り出しどこかへ電話をかけた。

相手が出ると、お爺様は声を低くして告げた。

「古くからの...

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