第214章

「お祖父様、誤解なさらないでください。あの人を責めるつもりもありませんし、怒ってもいませんわ」

 秋山棠花の声は凪いでいた。その言葉に嘘偽りはない。

 藤原光弘に車へ引きずり込まれたあの夜、彼女の心はすでに凍てつき、あの男に対して完全に愛想を尽かしていた。同時に、彼の非道な振る舞いも、ある意味では理解できていたのだ。

 彼が愛しているのは私ではなく、秋山柔子なのだと――長年の献身がいつか彼を動かすと信じていたが、結局のところ、感動していたのは自分だけだったという滑稽な結末。

 突き詰めれば、すべては身から出た錆だ。

 あの日、意地でも彼に嫁ぐと決めなければ、こんな事態にはなっていな...

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