第218章

 秋山棠花が藤原家に嫁いで三年。藤原の御隠居があれほどまでに顔を曇らせたのを見るのは、これが初めてだった。

 本来なら、御隠居の顔を立てて穏便に、一人でこの場を立ち去るつもりだった。

 だが、延司叔父さんと礼叔父さんが来てしまった以上、そうはいかない。

 事ここに至って、なあなあで済ませることなど不可能だ。

 安田延司の視線が、棠花の手首を強く掴む御隠居の手に注がれる。その瞳は凍てつくように冷たかった。

「藤原光弘が何をしでかしたか、わざわざ私が二階へ行って確認するまでもありません。……事ここに至って、まだ棠花を放してくださらないのですか」

「ご覧の通りだ。二人の問題は、決して棠...

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