第226章

 藤原光弘の視線が突き刺さる中、秋山棠花はゆっくりと、しかし拒絶の意志を込めて彼の手を押し返した。

 その口調は、まるで他人と会話しているかのように冷たく平坦だ。

「手を放して。お祖父様の具合が少し良くなったら離婚届を出すわ。そんなに長く時間は取らせないから」

 言い捨てると、彼女は振り返りもせずに二階を後にした。

 広間では、二人の仲を案じる藤原家の祖父が、落ち着かない様子であちこち歩き回っている。

 棠花がすぐに降りてきたのを見て、祖父が何か尋ねようとする間もなく、その後ろから怪我を押して階段を急ぎ降りてくる孫の姿が目に入った。

 棠花は淡々と告げる。

「藤原のお祖父様、も...

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