第229章

 息子の手にある薬を見て、山田蓮花の怒りは霧散した。

 彼女は器に入ったスープを彼の目の前に置く。

「何しに来たって……自分が怪我してるって分かってるくせに出歩いて……薬の前に、まずはこのスープを飲みなさい」

「朝から何も食べてないでしょう。いきなり薬なんて飲んだら胃が荒れちゃうわよ」

 湯気の立つ温かいスープを見て、藤原光弘の心がふっと和らぐ。

 彼は山田蓮花を見つめ、心の底から言った。

「母さん、ありがとう」

 山田蓮花は瞳を揺らした。この親不孝な息子はありがた迷惑だとでも思っているだろうと決めつけていたのに、まさか感謝の言葉が返ってくるとは。これには彼女も虚を突かれたよう...

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