第242章

佐藤芳子はオートクチュールのコートを身に纏い、首元には大粒の真珠を輝かせていた。血色も良く、全身から裕福な貴婦人のオーラを漂わせている。

水原春は一目見ただけで、母が美容院に身を隠している間、何不自由なく過ごしていたことを悟った。

胸のつかえが、すっと下りる。

院長は気を利かせてオフィスを母娘二人のために空け、静かにドアを閉めて出て行った。

「ちょっと顔を見せてちょうだい。痩せてない? ……ママは外に出られないから、毎日あなたのことばかり心配していたのよ」

芳子は目の前の娘をしげしげと眺めながら、愛しさに涙をこぼす。

つられて春も目頭を熱くした。

母の手を取り、近況を伝える。「...

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