第243章

一方、水原春は時計を気にしながら、足早に会社へと戻っていった。

そのすぐ後、路肩に停めた車で待機していた高橋久弥が降り立った。彼はスーツの襟元を正すと、悠然とした足取りで店の中へと入っていく。

受付の女性は目ざとい。仕立ての良いスーツに身を包んだ端正な顔立ちの男を見るや、すぐに愛想よく声をかけてきた。

「いらっしゃいませ。お客様、本日はどなたかをお訪ねでしょうか。それともエステをご希望ですか」

立地は悪く、店構えもこじんまりとしているが、ここを訪れる客は皆、羽振りがいい。たった一度の利用料が、彼女たち受付スタッフの年収に匹敵することさえあるのだ。

だからこそ、彼女たちは新規客を見る...

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