第252章

車内の空間には二人きり。背後に藤原光弘がぴったりと張り付いているせいで、秋山棠花は居心地の悪さに身じろぎし、位置をずらした。

 さっきの出来事を思い出し、まだ恐怖が燻っている。

「藤原光弘、一体何がしたいのよ。話があるなら口で言えばいいでしょ。お腹の子に何かあったら、タダじゃおかないから!」

「俺の子でもあるんだ。傷つけるわけがないだろう……」

 半月以上も会っていなかったせいで、光弘は彼女への恋しさで胸が痛みそうなほどだった。

 だからこそ抑えがきかず、いきなり抱きしめてしまったのだが。

 それでも手加減はしている。腹部には指一本分の負担もかけていない。

「ふん!」

 その...

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