第320章

「もちろんだよ。お祖父様に付き添うために来たんだもの。でも、私が数日ここに泊まることになったら、家で寂しくて眠れなくなっちゃうんじゃない……?」

 秋山棠花は、祖父に自分と藤原光弘の関係が修復されたと信じ込ませるため、わざと甘く、艶めいた声色を作った。

 安田豊文もそれを察し、若い夫婦の水入らずの会話を邪魔しては悪いと気を利かせた。

 適当な理由をつけて席を外し、二人がゆっくり話せるよう配慮したのだ。

 祖父の背中が見えなくなると、秋山棠花は一度目を閉じ、小さく息を吐いた。

 再び口を開いた瞬間、その声からは先ほどの甘美な響きが消え失せ、冷徹な響きだけが残っていた。「藤原光弘、何の...

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