第325章

 エイドリ家が放った刺客。その追跡が始まった瞬間から、彼女の腹は決まっていた。

 自分が死ぬのは構わない。だが、無関係な人間を巻き込むことだけは絶対に避けたかった。

 この感情は重すぎる。ましてや、高橋久弥を命の危険に晒すわけにはいかない。

「だめ!」

 高橋久弥は彼女の手を強く握りしめ、決意に満ちた瞳で日向琴葉を見つめ返した。

「俺は、このまま終わらせるつもりはない。好きなんだ。琴葉が思っているほど、俺の気持ちは軽いものじゃない。残りの人生、ずっと君と一緒にいたい。君だけなんだ」

「日向琴葉、俺を恨んでいるのは分かってる。君だけじゃない、君を置いて離れた自分自身を、俺だって許せ...

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