第348章

 安田豊文の葬儀は、もはや最後の手順を残すのみとなっていた。

 だが突如として秋山棠花の異変が報じられると、場は瞬く間に緊張に包まれた。外にいる参列者たちは、安田家の秘め事に関わることを恐れ、遠巻きに様子を窺うことしかできない。

 この事態に即座に対応したのは安田延司だった。彼は現場を掌握すると、礼と朔也に命じて棠花を病院へ搬送させる。

 残った者たちには現場の秩序維持と、お爺様――豊文の埋葬を厳粛に遂行するよう指示を出した。

 こちらの儀式が終わり次第、病院へ向かい棠花を見舞う手はずだ。

 そのわずかな混乱の隙に、先ほどまで棠花が佐藤玲と共に座っていた場所は、人影のない死角となっ...

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