第409章

 安田延司は呆れたように礼を睨みつけると、スマートフォンを放り投げた。

「俺もそこまで暇じゃない。棠花は本当に行ってないそうだ。護衛から連絡があった」

 通話履歴がわずか一分前であるのを確認し、安田礼は安堵の息を漏らす。

「行かなくてよかった。あそこは治安が悪いからな。棠花の身に万が一のことがあれば、親父に顔向けできない……」

 安田延司は何も言わなかった。亡き父――棠花にとっての祖父の最期の願いは、彼女が幸せに暮らすことだ。

 叔父である自分たちは、命に代えても彼女を守り抜く覚悟だった。

 安田礼は椅子を引き寄せて腰を下ろすと、机上の書類に目を留めて眉をひそめた。

「兄貴、会...

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