第428章

「ああ」

安田は唇を真一文字に結び、小さく頷いた。佐藤の手を握りしめ、自分の懐へと引き寄せる。

「玲、今はまだ俺を完全には信じられないだろう。お前がどう思おうと、もう二度とこの手を離さない」

安田は彼女の瞳を真っ直ぐに見つめた。

「自分勝手なのはわかっている。だが、お前を失うのはもう御免だ。だから……もう一度だけ、チャンスをくれないか」

安田家の長男として生を受けた彼にとって、人生とは「家」のための責務そのものだった。

たとえ興味がなくとも、それを表に出すことは許されない。

幼い頃から彼は必死に学び、努力を重ねてきた。すべては周囲が期待する「長男」という肩書きのためだ。

偶然...

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