第446章

 安田延司の特命もあって、昼食の席は実に豪華なものとなった。

 安田礼は秘蔵のワインを開け、全員のグラスに注いで回るなど、上機嫌そのものだ。

 自分のために集まってくれた人々の顔を見渡すうち、秋山棠花の胸に巣食っていた重苦しい澱のようなものは、次第に霧散していった。

 私には家族がいる。友がいる。これ以上、悲嘆に暮れている場合ではないのだ。

 彼女は深く息を吸い込むと、手元のグラスを持ち上げ、隣に座る佐藤玲のグラスへと軽く合わせた。

 澄んだ硬質な音が響く。ワインの芳醇な香りが、かつての自分を呼び覚ましていくようだった。

「玲、独身に戻った私を祝ってはくれないの」

 その言葉に...

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