第461章

 もう一人、いるだと?

 秋山棠花はわけがわからず、呆然と立ち尽くした。自分と藤原光弘の間にある障害といえば、あの秋山柔子以外に誰がいるというのか。

 この十数年、ずっと彼を影から想い続け、結婚してからの三年間でさえ、秋山柔子の影が亡霊のように二人の結婚生活にまとわりついていた。

 それなのに、藤原光弘が口にした「もう一人」とは、一体誰のことなのか。

 自分たちの間に、秋山柔子以外の人間が割り込んでいた記憶などないのだが……。

 秋山棠花の困惑した表情を見て取ったのか、藤原光弘はやるせなさそうに溜息をつき、その人物の名を口にした。

「……藤原颯だ」

「颯兄さんが帰国してからとい...

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