第473章

 久弥が口を開きかけたその時だった。琴葉はすでに、彼方から急速に迫りくる黒い影に気づいていた。

 彼女の顔色が一変する。考えるよりも先に、琴葉は久弥の手を引いて走り出していた。

「急いで。ここはもう安全じゃない。すぐに離れないと」

「秋山棠花がここを出る船を手配してくれたわ。時間通りにそこへ辿り着けば、殺し屋たちを撒けるはず」

 言いながら、琴葉は前方に見える海辺の桟橋を指差す。

 久弥の腕を掴み、全速力で駆ける。

 万全を期して手配したはずだった。だが、組織の連中に感づかれたらしい。まさか最後の最後で、刺客を送り込んでくるとは。

 二人が海辺へ到達しようとした、その時だ。不意...

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