第474章

 日向琴葉がその人物の正体に思いを巡らせる暇もなく、人影は瞬きする間に視界から消え失せた。

 それと同時に、限界を迎えた高橋久弥がその場に崩れ落ちる。

 幸い、秋山棠花が手配した船には医師が同乗していた。琴葉たちが戻らないのを案じ、部下を引き連れて迎えに来てくれたのだ。

「急いで! 彼が撃たれたの、助けて!」

 琴葉は久弥を抱き起こし、駆け寄ってきた医師たちと協力して彼を船へと運び込む。

 今は余計なことを考えている余裕などない。ただひたすらに、久弥の無事を祈るのみ。

 彼を失うわけにはいかないのだ。

 遊覧船に運び込まれるや否や、久弥の緊急手術が行われた。

 万が一のために...

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