第493章

 高橋久弥にせよ日向琴葉にせよ、藤原颯という人間に対する理解はあまりに浅い。ましてや、監視カメラの映像にほんの一瞬、一秒ほど映り込んだだけの腕時計など、気にも留めないだろう――。

 この世界で、その腕時計を見分けられる人間は、藤原颯本人を除けば、おそらく秋山棠花ただ一人だ。

 なぜなら、その時計を贈ったのは彼女自身なのだから。

 当事者である彼女が、見間違えるはずもない。

 昨晩、高橋久弥が証拠を一つひとつ提示した時点で、藤原光弘はすでに確信していた。この調査に秋山棠花が一枚噛んでいることを。

 そして、彼女がそこまでする理由は一つしかない。

 つまり――彼女の心の中には、まだ彼...

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