第496章

「で、俺は今、どうすればいいんだ」

 高橋久弥の言わんとすることは、藤原光弘とて理解していた。だが、それを実践しろと言われると、途端に頭を抱えたくなる。

 二十歳の誕生日に祖父から会社を譲り受けて以来、彼は仕事一筋に生きてきた。色恋沙汰などというものには、まるきり縁がなかったのだ。

 秋山棠花との結婚にしても、当時の祖父による鶴の一声で決まったものであり、彼に抗う術はなかった。

 この数年、彼は秋山棠花との冷え切った関係に慣れきっていた。

 そもそも生まれてこの方、自分から誰かを追いかけたことなど一度もない。

 いざ恋愛の駆け引きだのテクニックだのを学べと言われても、何から手をつ...

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