第501章

 秋山棠花のその言葉に、藤原颯の心は音を立てて砕け散った。

 彼女を、失ってしまうのだろうか?

「棠花。俺を恨んでいるのはわかってる。だから今は求愛者としてじゃなく、また『颯兄さん』として会ってくれないか? 俺たち、昔みたいに戻れないかな」

 どれほど藤原颯がかつてのような優しい声色を作ろうとも、秋山棠花の失われた感情を呼び戻すことはできなかった。

 彼女は痛いほど理解していたのだ。藤原颯はもう、あの頃の『颯兄さん』ではないということを。

 彼女と彼が、過去に戻ることなどあり得ない。

 電話越しに再び沈黙が落ちると、藤原颯は何かを決心したかのように小さく息を吐いた。

「棠花。も...

ログインして続きを読む