第508章

「藤原社長、お待ちください……」

 高橋久弥は重傷の身も顧みず、ベッドから転がり落ちんばかりの勢いで身を起こした。彼は藤原光弘に、今の危うい状況を警告しなければならなかった。

「お忘れですか。今、藤原家の実権を握っているのは颯様です。家の人員はすべて向こう側についている。今我々が乗り込んだところで、藪蛇になるだけで、何の役にも立ちません……」

 そう言いながら、高橋久弥は何かを思いついたように携帯電話を手に取り、恋人の日向琴葉に発信した。

「社長は落ち着いてください。今すぐ琴葉に状況を確認させます」

 日向琴葉は安田家に住み込んでいる。もし秋山棠花の身に何かが起きたのなら、安田家が...

ログインして続きを読む