第513章

彼女はあえて「被害者」としての立場を強調し、逆に藤原颯を問い詰めることで主導権を握り返そうとした。

その振る舞いは、かつて彼女が「颯兄さん」と親しく言葉を交わしていた頃の姿そのものだった。

そうすることでしか、藤原颯の警戒心を解く術はなかったのだ。

案の定、秋山棠花が説得されたと信じ込んだ藤原颯は、口元を緩めて低い声を漏らした。

「俺が悪かった。言葉が足りなくて、誤解させたな」

「分かればいいのよ。これからは何か考えがあるなら、直接言ってちょうだい。いちいち察するなんて御免だわ。分かった?」

秋山棠花は小首を傾げ、恐怖と委縮が入り混じったような表情を浮かべる。その姿は、見る者の庇...

ログインして続きを読む