第526章

 藤原光弘が何かを問いかけようとしたその瞬間、藤原颯はその気配を制するように口を開いた。

 腕時計に冷ややかな視線を落とし、淡々と言い放つ。

「株主総会の時間はとうに過ぎている。いつまでここに座っているつもりだ?」

 この緊急会議を招集した張本人として、藤原光弘にはこれから直面する事態に備え、先んじて会場へ向かう義務があった。

「会議には遅れないさ。それより、お前こそ……この隙にこっそり逃げ出すつもりじゃないだろうな?」

 藤原光弘の黒瞳が、じっと藤原颯を射抜く。

 この兄を信用していないわけではない。だが、今回の件で背負うべき責任はあまりに重い。人間なら誰しも、我が身の保身を考...

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