第532章

 田中金美は思わず身震いした。今になってようやく、彼女は藤原光弘という男の本質を目の当たりにしたのだ。

 彼は、世間で囁かれているような、ただ社長の肩書きを背負って座っているだけの飾り物では決してない。

 すべてを見透かし、その実力を闇の中に潜ませていたのは、彼の方だったのだ。

 先ほど藤原颯が連行されていった光景を思い出し、底知れぬ寒気が背筋を這い上がった。

 藤原颯が南アフリカのプロジェクト書を入手する手助け――彼女もまた、その共犯者なのだ。もし藤原光弘が本気で追求し始めれば、逃げ場などどこにもない……。

 だからこそ、今できることは本分を全うすることだけ。あとは藤原光弘が下す...

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