第580章

もし今回引き抜き騒動に関わった三人のうち、藤原光弘が最も対処に苦慮し、手を下しにくかった人物を挙げるとすれば、それは間違いなく白坂望実であった。

彼女が母に近づいたのには、別の思惑があったにせよ。

ここ数年、母と友人として付き合い、話し相手になってくれたのは彼女ただ一人なのだ。

彼女の言葉に一つだけ真実があった。

もし自分がこの手で白坂望実を藤原グループから追放すれば、母は間違いなく悲しむだろう。

しかし、私情は私情。ビジネスはビジネスとして割り切らねばならない。

藤原光弘の表情がわずかに和らいだのを見て、白坂望実はまだ見込みがあると思い込み、すかさず弁解を始めた。

「光弘、私...

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