第585章

同じ頃、車で藤原グループの本社に駆けつけた安田時也は、目当ての人物を見つけられずにいた。電話をかけても、コール音が虚しく響くだけだ。

焦燥感に駆られ、彼は一縷の望みを託して秋山棠花に連絡を入れた。もしかすると、あの二人は一緒にいるのではないか——そう考えたのだ。

元々は、棠花がまだ藤原光弘に未練を抱いているのか探りを入れるつもりだった。だが、ダメ元でかけた一本の電話が、見事に的中してしまった。

あろうことか、秋山棠花は本当に藤原光弘と一緒にいたのだ。

一方、時也からの着信を受けた秋山棠花は、ちょうど涙を拭いながらお爺様の病室から出てきたところだった。

通話ボタンを押すなり、時也の切...

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