第591章

「今か?」

午前零時を回った時計を一瞥し、藤原光弘は眉間をきゅっと寄せた。

電話越しの高橋久弥も、主の苛立ちを察したらしい。いきなり通話を切られまいと、慌てた様子で釈明した。

「社長、本当に至急ご報告すべき件がございまして。決してわざとこんな時間にお邪魔したわけでは」

高橋は光弘が最も信頼する部下である。彼の言葉を光弘が疑うことは滅多にない。

ましてや、こんな深夜のことだ。

光弘はそれ以上詮索するのをやめた。

「何事だ、言ってみろ」

高橋に夜中わざわざ電話をかけさせるほどの急件とは一体何なのか、聞かせてもらおうじゃないか。

高橋は一秒たりとも無駄にすまいと、慎重に息を吐いた...

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