第601章

藤原光弘が安田時也の車に追いつき、声をかけようとしたその時、偶然にも時也の電話越しの声が耳に飛び込んできた。

「なんだと……棠花がいなくなった?」

「分かった、すぐ戻る」

その言葉に、藤原光弘は思わず立ち尽くした。

秋山棠花が突然いなくなるなんて。

一体何があったというのか……。

棠花は普段、叔父たちの言うことを誰よりも素直に聞く。あの日だって自ら進んで彼らに付き従い帰宅したというのに、なぜこのタイミングで突然安田家から姿を消したのか。

光弘が理由を推測する間もなく、緊迫した面持ちの安田時也が通話を切った。

棠花の突然の失踪に、叔父たちは気が気でないだろう。

この一年、棠花...

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