第603章

藤原グループ本社ビル、最上階の屋上。

どんよりと沈んだ空の下、冷たい風が間断なく吹きつける。秋山棠花は屋上の縁に座らされていた。全身をきつく縛られ、吹きすさぶ寒風から身を庇うものは何一つない。

急いで外へ出たため、棠花は薄手のアウターを一枚羽織っているだけだった。こんな高所で長時間風に晒され続け、その顔色はすっかり蒼白になっている。

彼女は電話を切ってこちらへ歩み寄ってくる秋山柔子を見据え、深く息を吸い込んだ。

「秋山柔子、そんなことをしても過ちを重ねるだけよ」

先ほどの通話の内容は、すべて聞こえていた。

だが、棠花にはどうにも理解できなかった。

なぜ柔子はいまだに、藤原光弘が...

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