第606章

「もう自分が誰なのか分からないの。スカートを穿くのが好きなのは私じゃなくてあなただし、ピンクが好きなのもあなた……なら、私は一体、秋山棠花なの? それとも秋山柔子なの?」

「あなたは秋山柔子よ。あなた自身であり、この世界にただ一人しかいない存在なの」

秋山棠花はきっぱりと言い放った。

秋山柔子がこんな風になってしまった理由は、容易に推測できた。幼い頃の環境や、佐藤芳子から植え付けられた歪んだ思想と決して無関係ではないのだ。

母親たちの世代の恩讐は、秋山宏章と佐藤芳子の死刑が執行されたあの瞬間に、とうの昔に終わっている。

そして、秋山柔子について。

憎しみと恨み、どちらの感情が強い...

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