第708章

「生まれるって……?」

 その言葉を聞いた瞬間、日向琴葉の頭は真っ白になった。秋山棠花の手をきつく握りしめたまま、恐怖で言葉すらまともに出ない。

「棠花、脅かさないでよ……」

「どうしよう、棠花が、子供が生まれるの!」

「なんだと……う、生まれる?」

 警察と事後処理について交渉していた高橋久弥は、その言葉に一瞬思考が停止した。慌てて駆け寄ると、すでに藤原光弘が奥様をその腕に抱き上げているところだった。

 そのまま大股で、一番近くに停まっていたパトカーへと向かっていく。

 長年藤原の側近として仕えてきた高橋は、瞬時に主の意図を察した。

 急いでパトカーへ駆け寄り、乗っていた警...

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