第715章

息子のそんな様子を見て、山田蓮花は何かを思い出したように、慌てて医師の腕を掴んだ。

「先生、嫁は他に何か言っていませんでしたか」

「奥様は……」

医師が言い終わる前に、手術室から秋山棠花の叫び声が響いた。

「藤原光弘、早くサインして! 痛くて死にそうなの。帝王切開は嫌、自分で産むって言ってるでしょ、聞いてるの!?」

藤原光弘の手が震えた。秋山棠花の声を聞いた瞬間、彼の思考は完全に白紙になった。

彼は必死に精神を保ち、決意を秘めた眼差しで目の前の医師を見据えた。

「自然分娩で、妻の無事は保証できるのか」

彼が求めるのはそれだけだった。

他のことなど、本当にどうでもよかった。

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