第730章

かつて海外へ飛んだのも、お爺様に追い詰められたからだ。

長兄が軍隊へ入り、次兄がM国で自らの事業を開拓したことで、お爺様の矛先は彼へと向かった。相談すら一切なく、いきなり会社の末端から鍛え上げようと手配したのだ。

もしあの時、こっそり家から逃げ出していなければ、危うく一生を会社に捧げる羽目になっていた。

残りの半生、会社と家を往復するだけの日々が続くのかと考えただけで、安田礼にとってはまるで世界の終わりのように感じられた。

一日中会議室やオフィスに閉じ込められ、終わりの見えない仕事の山を処理し続けるなんて真っ平ご免だ。絶対に頭がおかしくなる。

だからこそ、彼に一切の躊躇はなかった。...

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