第796章

 相手もまた、只者ではない。一番恐れるべきは、時也を助けようとした善意が仇となり、逆に相手に弱みを握られることだ。

 それを盾に取られ、時也が妥協を強いられるような事態になることである。

 それでは本末転倒だ。

 手助けは必要だが、慎重に策を練らなければならない。

 朔也のその言葉に、安田延司も頷いた。時也の件はそう単純ではない。単なるビジネスの抗争であれば、相手の出方に応じて立ち回るだけで済み、後顧の憂いを抱く必要もない。

 だが、今回時也がしようとしているのは「略奪」だ。しかも相手は名家の令嬢であり、将来的に親戚関係になる可能性もある。あまり軽率な真似はできない。

 「朔也の...

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