第87章

しかし、女の力では男に敵うはずもなかった。彼女の必死の抵抗はすぐに藤原光弘によって軽々と押さえつけられ、体を覆っていた布も足元まで引き剥がされてしまう。

またあんなことを経験しなければならないのかと思うと、秋山棠花は全身をこわばらせた。

無意識に両腕で胸を抱きしめ、男に向かって罵声を浴びせる。

「藤原光弘、あんたそれでも人間なの? もうあんたに嬲り殺される寸前なのに、まだ獣みたいに発情する気?」

男の大きな手が伸びてくる。秋山棠花は必死にもがいた。

「騒ぐな。傷を見る。薬を塗ってやる」

彼の声は平坦だったが、その口調には拒絶を許さない覇道的な響きがあった。

か弱い肌に触れる長い...

ログインして続きを読む