第97章

藤原光弘の表情は、恐ろしいほどに険しかった。

不倫相手に面と向かって、夫である自分が男としてどうなのかと罵倒されるとは。

奴にそんな資格があるものか!

「俺たちの関係に貴様が口出しする筋合いはない。秋山棠花は俺の女だ。てめえは何様のつもりで俺に吠え面かいてんだ!」

二人の間で見えない怒りの炎が燃え盛る。

柏木浬の拳が固く握られるのを見て、秋山棠花は慌てて間に入った。「浬くん、ちょっと外に出てて」

「秋山社長……」

柏木浬は彼女一人で藤原光弘と向き合わせるのが心配だったが、秋山棠花の目配せを受け、言いたいことがあっても、部外者がいる手前、ぐっと堪えた。

会議室にい...

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