第98章

【見間違いじゃないわよね、藤原社長の首、あれって爪痕?それに口元も……二人とも、そんなに激しかったの?】

【さすがは私たちの秋山社長ね。やるときは本当に容赦ないんだから】

【あんなに噛みつかれてるのに、藤原社長の表情、怒ってるっていうより……むしろ気持ち良さそうに見えるんだけど】

その頃、オフィスの中。

秋山棠花は火照る頬をぱたぱたと叩き、ドアの方を見つめながら密かに決意を固めた。

もう二度と、藤原光弘の一言にやすやすと心を乱されたりしない、と。

彼は家に帰ると言った。なら自分は帰らない。

ふと思いつき、秋山棠花はスマートフォンを取り上げ、柏木浬に電話をかけた。

「...

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