第14章 ブライズメイド

辻本雨妃が顔を上げたとき、唇の端には冷えた笑みが浮かんでいた。

「浅井社長って、ほんと犬みたいに耳がいいんですね。聞くべきことも聞かなくていいことも、ずいぶんきれいに拾ってるみたいで」

その言葉に、浅井景辰の表情がすっと険しくなる。眉を寄せて何か言い返しかけたところで、日野遥が彼の手をそっと取り、甘えるように軽く揺らした。

「辻本さん、たぶん気分がよくないだけよ。景辰、あまり辻本さんを責めないであげて」

浅井景辰は鼻で笑った。

「六年ぶりに会ってみれば、口が達者になっただけか。ほかは何ひとつ変わってないな」

辻本雨妃はただ冷たく一瞥をくれただけで、相手にしなかった。ネクタイを一本...

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