第152章

父子が去ったあと、辻本雨妃は首をかしげるように浅井景辰を見た。口元には、笑っているのか嘲っているのか判然としない弧。

「浅井社長、口が悪いにもほどがあるわね。あの場で本気でキレられると思わなかったの?」

浅井景辰は淡々と返す。

「キレるなら、息子が平手打ちされた時点でとっくにキレてる。……それに」

言葉を切り、視線を落として彼女を一瞥した。

「今回の入札の責任者はお前だ。あいつらも、わざわざお前に喧嘩は売れない」

辻本雨妃は鼻で笑う。

「笹川彦樹って、本当に救いようのない馬鹿ね。金主に向かって、あんな公然と口説くなんて」

「……口説かれたのか?」

浅井景辰の眉間がきゅっと寄...

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