第17章 仙女のように美しい

車内は、やけに静かだった。

立花時安は時折、横目で辻本雨妃をうかがう。彼女はシートに身を預け、窓の外を流れていく夜景をぼんやり眺めている。魂だけ、どこかへ置き忘れてきたみたいに。

「……あいつ、手を出したのか?」

声は低く、息が混じるほどに小さい。そこに滲むのは、隠しきれない心配だった。

雨妃ははっとして視線を戻し、立花時安を見て苦く笑う。

「してないよ。安心して。今の私は、六年前の辻本雨妃じゃない。そう簡単にいじめられたりしない」

少し間を置いて、彼女は眉を寄せた。

「……それより。どうして私がここにいるって分かったの?」

立花時安はその問いに、意味ありげに口元を吊り上げる...

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