第183章

冷たい刃が、辻本雨妃の肌に触れようとした、その刹那――

「バンッ!」

鈍い銃声が、廃工場の静寂を叩き割った。

弾丸は日野遥のナイフを握る手首を正確に撃ち抜き、衝撃で彼女は悲鳴を上げる。短刀は指先から弾かれて宙を舞い、「カラン」と乾いた音を立てて床に転がった。

「っ……ああ! 手、手が!」

日野遥は血の噴き出す手首を押さえ、引きつった声で叫ぶ。

次の瞬間、工場の鉄扉が「ガンッ!」と蹴破られた。

入口に立っていたのは、浅井景辰。冷えた眼差しのまま、影のように踏み込んでくる。背後には江口准、そして身のこなしの鋭い元特殊部隊の男たちが数名。全員がエアガンを構え、迷いなく日野遥と古川加津...

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