第30章 やはり高嶺の花のほうが重要だ

浅井景辰は眉間に深い皺を刻み、彼女を睨むように見つめた。だが彼が口を開くより先に、隣にいた江口補佐が角の立たない調子で言う。

「辻本嬢、お友達がおでこを怪我されてますし、今の状況だと辻本嬢も運転は難しいでしょう。ひとまず私が病院へお連れして、処置だけ済ませてきます」

辻本雨妃は振り返り、須藤言へ目をやった。さきほど彼女に手を出そうとした男がいた。その前に立ちはだかったのは、須藤言だった。

数秒だけ迷い、雨妃は頷く。

「……お願いします」

浅井景辰は補佐に一瞥をくれて、無意識に口元をわずかに吊り上げた。

雨妃が須藤言に短く言葉を交わすと、須藤言は江口補佐に従って車へ乗り込む。

江...

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