第40章 息子を会社に連れて帰る

日野遥が書斎のドアを開けると、浅井景辰はデスクに向かったまま座っていた。

目の前には書類が広げられている。だが、文字はひとつも頭に入っていない。

「景辰」

甘くとろけるような声。わざとらしいほどの猫なで声が混じる。

「こんな時間まで、まだお仕事?」

薄手の生地が身体の線をくっきりと拾い、胸元もやや深く開いている。

浅井景辰は目を上げ、彼女を一瞥した。視線はほんの一秒ほどその姿に留まり、それから眉がわずかに寄る。

「まだ寝てなかったのか」

淡々と言い、すぐに視線を外した。

日野遥は燕の巣粥を手に、彼のそばまで歩み寄る。身をかがめて器を机に置くときも、わざとゆっくりとした動きで...

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