第61章 お前みたいな品には惚れない

立花グループ社長室。

透は遠慮というものを知らないみたいにソファへどかっと腰を下ろし、ぷらぷらと足を揺らしながら、まん丸い目で室内をきょろきょろ観察していた。

この父親、センスは悪くない。社長室はすっきりしていて明るいし、壁に掛かった名画も透は覚えている。1年前、立花パパに連れられてオークションへ行ったときに見た作品だ。ママの誕生日プレゼントに買おうとしていたのに、誰かに高値でさらわれた。

まさか――ママのプレゼントを奪ったその相手が、本人だったなんて。

「浅井社長、コーヒーです」

秘書の林田唯がカップを載せたトレーを手に入ってくる。

浅井景辰はソファで好奇心丸出しの子どもを一瞥...

ログインして続きを読む