第13章 恥をかく

「買うつもりなの?」安田美香は眉を上げて尋ねた。「本当に?」

「もちろんよ、辰お兄さん、どう思う?」安田柔子は藤原辰の方を向き、甘ったるい声で聞いた。

「ああ、そのドレスは君に似合っているよ」藤原辰はうなずき、同調した。

「聞いた?姉さん、このドレス、買うわ」安田柔子は得意げに安田美香を見つめた。

「安田柔子、あなた頭おかしいんじゃない?」安田美香は容赦なく言い放った。「このドレスは私が先に目をつけたのよ。なぜあなたに譲らなきゃいけないの?」

「お金払ってないでしょ、私だって買えるわよ!」安田柔子は得意気にバッグからカードを取り出して投げた。

「美香、ほっときましょうよ、行こう」...

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