第49章 軽くつつく

安田美香はそれを聞いて、「叔父さん、それじゃあ忙しいでしょうから。夜にお会いしましょう」と言った。

藤原時は振り返ると、南崎陽が入ってくるのを見た。

「安田家の株は十分下がったから、もう手を引いたらどうだ」

南崎陽は藤原時が手を引くのは安田美香との関係があるからだと薄々気づいていた。彼は軽く頷いて立ち去った。

夜の六時、藤原時はビデオ会議を終え、自ら車を運転して青水湾へと向かった。

道中、ある花屋の前を通りかかり、一束の赤いバラを買った。

艶やかに咲き誇るバラを見つめながら、彼は安田美香が彼の下で花開く姿を思い浮かべた。バラと同じように魅惑的で美しい。

自分より八歳も年下の恋人...

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