第14章

受付嬢はスマホのアルバムを開いた。結城時也と白川詩帆のツーショットで、どこかのビジネスパーティーで撮られたものだろう。

写真の中の白川詩帆はシルバーのドレスをまとい、結城時也の腕を組んで、太陽のように眩しく微笑んでいる。そして、彼女を見つめる結城時也の眼差しは、藤堂詩織が一度も見たことのない優しさに満ちていた。

「男性にここまで気遣ってもらえるなら」受付嬢は頬に手を当て、憧れの表情を浮かべた。「一生尽くしたって構わないわ。結城社長って、本当に人のことを大切にするのね。白川さんの好きな花まで、ちゃんと覚えてるんだから……」

それ以上は、藤堂詩織の耳には入ってこなかった。

鼻腔をくすぐる痒...

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